M06 / M06-2X

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Donald G. Truhlar らにより発表された混成メタ GGA 汎関数(参考文献 1)。PBE 交換汎関数を運動エネルギー密度項で補正した M05 交換汎関数と B97 相関汎関数を、メタ GGA 汎関数の VS98 交換・相関汎関数と組み合わせたのち、それを HF 交換積分と混成させた汎関数である。多数のパラメータが含まれているため、半経験的汎関数に分類される。

Truhlar らは 2005 年から多数の Minnesota 汎関数を発表してきたが、その中でもよく使われているものが M06, M06-2X である。2016 年時点で約 14 種類の Minnesota 汎関数が発表されており、それぞれに異なった特性がある。

M06 の M は、Minnesota の頭文字から来ているという説とメタ汎関数の頭文字から来ている説がある。M の後ろの数字 06 は発表された西暦のしも二桁を表している。

ポスト B3LYP の呼び声も高く、近年、有機化学反応の計算などでよく使われているが、更に良い汎関数が発表されるまでの”つなぎ”という声も少なくない。

設計指針

Scuseria と Statoverov の review (参考文献 2) では、広く受け入れられるための汎関数の設計指針が 6 つ示されている。

  1. local spin density approximation (LSDA)
  2. density-gradient expansion
  3. constraint satisfaction
  4. modeling the exchange-correlation hole
  5. empirical fits
  6. mixing Hartree–Fock and approximate DFT exchange

M06-L は上の指針の 3,5,6 を満たすように設計された。また、M06-HF は上の指針の 3,4,5,6 を満たすように設計された。M06, M06-2X はこれらを更に改良したものである。

注意点

M06 は、金属がある場合と金属がない場合の両方についてパラメータが設定されているが、 M06-2X は金属なしの場合のみしかパラメータの設定がなされていない。金属を含んでいる系には M06、金属のない系には M06-2X を使う。非共有結合 non-covalent bond の見積もりに優れているとされており、実際の使用例を見てもペリ環状反応や水素結合などを含む系に多く使用されている印象を受ける。

問題点

 

参考文献

  1. ”The M06 suite of density functionals for main group thermochemistry, thermochemical kinetics, noncovalent interactions, excited states, and transition elements: two new functionals and systematic testing of four M06-class functionals and 12 other functionals.”
    Zhao, Y.; Truhlar, D.
    Theor. Chem. Acc. 2008, 120, 215−241. DOI: 10.1007/s00214-007-0310-x
  2. “Theory and application of computational chemistry: the first 40 years.”
    Scuseria GE, Staroverov VN (2005) . In: Dykstra CE, Frenking
    G, Kim KS, Scuseria GE (eds) Elsevier, Amsterdam, pp 669–724
  3. “Performance of Density Functional Theory Procedures for the
    Calculation of Proton-Exchange Barriers: Unusual Behavior of M06-
    Type Functionals.”
    Bun Chan, Andrew T. B. Gilbert, Peter M. W. Gill, and Leo Radom
    J. Chem. Theory Comput. 2014, 10, 3777–3783. DOI: 10.1021/ct500506t

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