量子化学計算で a.u. を使う理由 〜Why Atomic Unit?〜

Gaussian での計算結果の log ファイルを見るとエネルギーは全て a.u. という単位で書かれています。論文等で使われる eV や kcal/mol 、kJ /mol を用いない理由は何なのでしょうか?

英語版: Why atomic units (a.u.) are used in QM calculation?

計算が簡単になる

atomic unit を用いると以下の関係が成り立ちます。

    \[m_e=e=\hbar=1\]

すなわち、電子の質量 m_e、電荷 e、換算プランク定数(ディラック定数) \hbar が全て 1 となり、計算が大幅に楽になります。

コンピューターが計算するのだから定数が 1 になっても変わらないんじゃないの?

と思う人もいるかと思いますが、コンピューターは小数点の計算が苦手です。コンピューターの数値計算に誤差が全く無いというのは大きな誤りです。

コンピューターは数字を 2 進数で保持しますが、ほとんどの小数は 2 進数では正確に表すことができません。そのため、少数の計算を行うと毎回誤差が生じます。一回一回の誤差は小さなものですが、何回も計算を続けると大きな誤差となります。これは計算の精度にも影響してきます。

atomic unit の換算

Gaussian での計算が終了したら、手動で計算結果の単位変換を行う必要があります。以下に単位の換算表をお示しいたします。


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単位変換

上記の表を全て覚える必要はありませんが、Gaussian を使う上で最低限覚えておいた方が良いものを以下にピックアップします。

1 a.u. = 4.35981 \times 10^{-18} J
1 a.u. = 27.21162 eV
1 a.u. = 627.510 kcal/mol
1 a.u. = 6.57981 \times10^{15} Hz
1 a.u. = 45.5628 nm

管理人は、反応機構の計算などをする場合は、Excel でエネルギーの一覧を作成して、a.u. から kcal/mol へ一括変換しています。

記事中に間違い等ありましたら、コメント欄またはメールにてご指摘して頂ければ、幸いです。

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One comment

  1. 水素原子のエネルギー が定義上 -0.5 a.u. になり エネルギーがそれを基準として何倍で表せるようになるため便利で とくに 物理定数(普通は変化しないと考えて良い)が時間とともに変化してしまうような場合でもa.u.は不変になるのでいいと なにかで見たことがあります。

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