量子化学計算のデータベース

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量子化学計算のデータベースを紹介します。

これらのデータベースの構造を自身が行う計算の初期構造として用いることは推奨できますが、データベースの物性値を信用することはやめたほうが良いと思います。原子数のある程度大きい化合物であれば、無数のコンフォマーが存在しているため、化合物と物性値が一対一対応していることはあり得ません。また、データベースの物性値は計算レベルがあまり高くないので、参考程度にするのが良いと思います。詳しくは、こちらの記事を:NMR 計算のアドバイス

CHEmical SHIft REpository(CHESHIRE)

UC Davis の Dean Tantillo 教授らが作成した NMR 計算のデータベース。どのような計算レベルの時に、どの程度誤差が生じるのかが収録されている。

多くの計算レベルで検討してあるため、非常に信頼できるサイト。やはり、現役の研究者が自身の研究論文に基づいて作成しているため、クオリティが高い。

CCCBDB

NIST(アメリカ国立標準技術研究所)が運営するデータベース。各化合物の物性データの計算値と実験値が収録されている。このようなベンチマークを作成することにより、異なる ab initio 計算手法間での比較ができるようになることを目的としている。

PubChemQC

理化学研究所情報基盤センターが管理しているデータベース。無料で公開されている世界最大規模の化合物ライブラリー PubChem の情報を基に、第一原理計算により各種データを揃えている。GAMESS(US)で計算した構造最適化データなどが 3,981,230 分子が収録されている。

B3LYP/6-31G(d) で構造最適化されているので、計算の初期構造として用いるのには良い。

なお、理研には多数のデータベースが存在しており、こちらのページに行くと一覧を見ることができる。

遷移状態データベース(TSDB)

山口大学堀研究室からスピンアウトした TS テクノロジーという会社が開発している遷移状態構造に関するデータベース。化合物の反応遷移状態、最適化構造、電子状態、などの計算結果が収録されている。

反応を経路を探索する場合、1 つの反応に対し数百通りの経路を計算することもあるわけで、ある反応の遷移状態が 1 つしかないという点に非常に疑問を感じる。上述したように、初期構造として用いるには良いが、物性値などはあくまで参考程度にするのが良いと思う。

Basis Sets Exchanger

基底関数のデータベース。

基底関数には、それぞれ適応範囲があります。例えば、6-31G は 水素H から クリプトン Kr までが適応範囲です。ルビジウム Rb 以降の元素を扱う場合には別の基底関数を指定する必要があります。

関連リンク

TSDB の開発

NMR 計算のアドバイス

ECP 有効内殻ポテンシャル