計算化学をやったことの無い人は、
”計算って簡単なんでしょ” ”すぐ終わるんでしょ?ワンクリックで!”
とか”チンパンジーでも出来るんでしょ?”
なんて言ってきますが、そんなことは一切ありません。
実験と同じで試行錯誤の連続です。計算は初期構造に大きく依存します。つまり初期構造がおかしいと計算結果もおかしな結果になってしまうのです。
そこで、inputファイルを作る際には初期構造が合っているかどうか注意します。また、いくつもコンフォメーションが考えられる場合は、全て計算します。
計算が終わったら、解析を行ないます。エネルギーの値、結合長、結合角、軌道の形、振動解析、コンフォメーションは正しいか?、、、など思った以上に時間がかかる作業です。もし、計算終了後に初期構造がおかしかったことに気がつくと、全てやり直しです。
そこで、時間節約のために以下のようにして下さい。
- PM6など半経験的手法で初期構造を探索する。
- DFTで3-21Gで最適化
- 最終的に使いたい計算手法で最適化
一見、3段階もかかっていて遠回りなように見えますが、これが一番速いのです。特にMP2など時間がかかる系ではこうした方が良いです。
また、遷移状態を求める場合に、modredundantオプションを使うかと思いますが、この時にはDFTでやる方が良いと思います。PM6でmodredundantして遷移状態最適化のための初期構造を求めることも出来ますが、やはりDFTとは異なるため、最適化に無駄に時間がかかってしまうことが多いです。3-21Gならば、6-31G*などに比べかなり速いですし、構造もそこまで大きく違わないです。
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