マルチ・ステップ・ジョブ の使い方

Gaussian を用いた量子化学計算では、一つの計算が終わるとその座標をコピーして、次の計算の input フィアルを作りまた計算を投げる、というプロセスを繰り返していかなければなりません。簡単な作業ですが面倒であり、また時間も取られます。

そこで今回は、連続して計算を投げる方法 ”マルチ・ステップ・ジョブ” を紹介します。

Link 1 コマンドを使おう!

Gaussian には Link 1 コマンドというものがこれにより計算を連続して行うことができます。下に input ファイルの例を示します。
座標情報の下に一行空けて、chk ファイルと計算キーワードを指定します。

%mem=8000mb
%nproc=16
%nosave
%chk=Bipy.chk
#p PM6 opt

Title Card Required

0 1
 C                 -6.74276574   -4.41865805    0.00119900
 C                 -5.34760574   -4.41865805    0.00119900
 C                 -5.34772174   -2.00239805    0.00000000
 C                 -6.74254674   -2.00247605   -0.00047900
 C                 -7.44014774   -3.21068205    0.00051700
 H                 -7.29252474   -5.37097505    0.00164900
 H                 -4.79809774   -5.37117105    0.00251400
 H                 -7.29266874   -1.05019505   -0.00143200
 H                 -8.53975174   -3.21049905    0.00033700
 C                 -4.57721767   -0.66901009   -0.00008262
 C                 -3.18239371   -0.66893141    0.00168463
 C                 -4.57733355    1.74724984   -0.00143189
 C                 -2.48479419    0.53927556    0.00252999
 H                 -2.63227170   -1.62121241    0.00262183
 C                 -3.18217536    1.74725102    0.00081499
 H                 -5.12684215    2.69976323   -0.00200634
 H                 -1.38519133    0.53909331    0.00412107
 H                 -2.63241699    2.69956843    0.00114609
 N                 -4.65006774   -3.21090705    0.00119900
 N                 -5.27487167    0.53949891   -0.00128162

--Link1--
%mem=8000mb
%nproc=16
%nosave
%chk=Bipy.chk
#p B3LYP/3-21G geom=allcheck guess=read opt 

title

0 1

--Link1--
%mem=8000mb
%nproc=16
%nosave
%chk=Bipy.chk
#p B3LYP/6-31G(d,p) geom=allcheck guess=read opt 

title

0 1


(ここまで。最後は、空行が 2 つ以上必要。)

上記の例では、三つの計算をつなげてあります。一つ目の計算では PM6 での構造最適化、二つ目の計算では B3LYP/3-21G での構造最適化、三つ目の計算では B3LYP/6-31G(d,p) での構造最適化です。一つ目の計算終了後に、その計算結果の座標を初期座標として二つ目の計算が自動的に開始されます。これにより、計算にかかる時間が短縮されます。

注意点

計算結果の log ファイルを Gauss View で開くと最後の計算の結果のみが表示されます。最後の計算結果以外を確かめるためには、自分で log ファイルの内容を読み解く必要があります。

今回は、opt での例を示しましたが、opt=ts と irc の組み合わせや、一点計算の組み合わせなども利用可能です。しかし、一つ目の計算結果が失敗した(例えば、望みの TS の構造ではなかった)場合でも次の計算が開始されてしまいます。最後の計算が終了した後で失敗したことに気づくと時間のロスが大きいため、計算投入後は数時間おきに計算経過をチェックすることをお勧めします。また、マルチステップジョブの計算終了時には log ファイル内に、指定した計算の数だけ Normal termination があるかどうかを確認した方が良いです。

個人的には、link1 コマンドをいつも使うことはお勧めできませんが、出張で計算経過をチェックできない時や、深夜に計算を投げて翌朝結果を確認する際に威力を発揮すると感じています。

以下の記事で、簡単なスクリプトを用いて計算を自動化&効率化する例を示しております。そちらも是非読んで見てください。

参考リンク

Gaussian 社の manual

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