2020年07月後半 kwh_rd100の注目論文BEST3

 計算化学.comスタッフの kwh_rd100 です。各種の計算ソフト群をツールと割り切って使う立場から、2020年 07月後半の注目論文 BEST3 を紹介させて頂きます。

1)Illuminating Elite Patches of Chemical Space
(化学空間を照らすエリートパッチ)
https://doi.org/10.26434/chemrxiv.12608228.v1

2)Sequence-guided protein structure determination
using graph convolutional and recurrent networks
(グラフの畳み込みおよび再帰ネットワークを使用した、
 シーケンスに基づくタンパク質構造の決定)
https://arxiv.org/abs/2007.06847

3)Rapid Detection of Strong Correlation with Machine Learning
for Transition Metal Complex High-Throughput Screening
(遷移金属複合体ハイスループットスクリーニングのための機械学習との強い相関の迅速な検出)
https://doi.org/10.26434/chemrxiv.12685922.v2

202007-後半 注目論文①

1)Illuminating Elite Patches of Chemical Space
(化学空間を照らすエリートパッチ)
https://doi.org/10.26434/chemrxiv.12608228.v1

[エグゼクティブサマリー]

 高性能分子が検索スペース全体にどのように分布しているかの全体的な概要を提供。質的に異なる分子を強力に生成し、最適解の分布を明らかにし、機械学習と従来の遺伝的アルゴリズムアプローチの両方とを比較して検索効率向上に成功。実装あり。https://github.com/Jonas-Verhellen/argenomic

[kwh_rd100のコメント]

 このGB-EPIを使用して、候補分子の親油性、モル屈折率、および質量にまたがる特徴空間をスキャンすることにより標的タンパク質との結合親和性が阻害剤の物理化学的特性によってどのように変化するかを考察可能であり、工業化学的には推定生産コストと合成可能性によって広がる特徴空間でより多くの用途を見つけることも可能な重宝なツールである。

202007-後半 注目論文②

2)Sequence-guided protein structure determination
 using graph convolutional and recurrent networks
(グラフの畳み込みおよび再帰ネットワークを使用した、
 シーケンスに基づくタンパク質構造の決定)
https://arxiv.org/abs/2007.06847

[エグゼクティブサマリー]

 大きなタンパク質とその複合体についての極低温電子顕微鏡(cryo-EM)撮影データからタンパク質構造を決定する方法。2層GCNにより回転異性体ベースのアミノ酸IDと候補3次元Cαのセットからの出力を効果的にグラフとしてエンコードし、双方向LSTMにより入力が誤入力や誤入力を含んでいても有向アミノ酸鎖を正確にデコードして生成できる。

[kwh_rd100のコメント]

 生のグラフを処理するには2層GCNで十分であり、学習データへのオーバーフィットを防ぐことができるのは、計算負荷がさほど高くならないのでありがたい。完全自動化されたテンプレートフリーのモデルとのこと、実装の公開が待たれる。

202007-後半 注目論文③

3)Rapid Detection of Strong Correlation with Machine Learning
 for Transition Metal Complex High-Throughput Screening
(遷移金属複合体ハイスループットスクリーニングのための機械学習との強い相関の迅速な検出)
https://doi.org/10.26434/chemrxiv.12685922.v2

[エグゼクティブサマリー]

 開殻-遷移金属錯体と材料のためのDFTハイスループットスクリーニング向け低コストアプローチの実証。18.7万以上の遷移金属錯体の評価結果から、多参照(MR)特性は金属感受性が、HOMO-LUMOギャップはリガンド感受性が高いことを示し、開発モデルを用いて、参照(MR)特性が低くかつHOMO-LUMOギャップが小さい錯体の発見に成功した。

[kwh_rd100のコメント]

 より高度な電子構造解析手法が強相関分子の発見に有用であり、DFTレベルのワークフローが十分に頑健であることを示している。HOMO-LUMOギャップをフラクショナル占拠数(FON)ベースの予測しても十分な精度が得られないことを示し、開発モデルにより所望物性を有する錯体発見への実証展開しており、魅力的である。

さいごに

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