2020年12月前半 kwh_rd100の注目論文BEST3

計算化学.comスタッフの kwh_rd100 です。各種の計算ソフト群をツールと割り切って使う立場から、2020年 12月前半の注目論文 BEST3 を紹介させて頂きます。

1)MoleculeKit: Machine Learning Methods for Molecular Property Prediction and Drug Discovery 
(MoleculeKit:分子特性予測と創薬のための機械学習手法)
 https://arxiv.org/abs/2012.01981
2)Molecule Optimization via Fragment-based Generative Models
(フラグメントベースの生成モデルによる分子の最適化)
 https://arxiv.org/abs/2012.04231
3)Combining Multilevel Hartree Fock and Multilevel Coupled Cluster with Molecular Mechanics: a Study of Electronic Excitations in Solutions 
(マルチレベルハートリーフォックとマルチレベル結合クラスターを分子力学と組み合わせる:溶液中の電子励起の研究)
 https://arxiv.org/abs/2012.05583

202012-前半 注目論文①

1)MoleculeKit: Machine Learning Methods for Molecular Property Prediction and Drug Discovery (MoleculeKit:分子特性予測と創薬のための機械学習手法)
 https://arxiv.org/abs/2012.01981

[エグゼクティブサマリー]

 MoleculeKitは、分子グラフとSMILESシーケンスの両方に基づいたディープメソッドと非ディープメソッドをカバーする4つのモジュール(①マルチレベルメッセージパッシングニューラルネットワーク(ML-MPNN,グラフベースの深層学習法) ②Weisfeiler-Lehmanサブツリーカーネル ③対照BERT(シーケンスベースの深層学習法) ④サブシーケンスカーネル)からなる、分子特性の予測と創薬のための高度な機械学習ツール。抗生物質の発見等に威力を発揮。実装あり(https://github.com/divelab/MoleculeKit)

[kwh_rd100のコメント]

 MoleculeKitは、原則、前述の4モデルそれぞれの実行結果を得て、これらを最終予測にまとめている。このように、グラフおよびシーケンスデータのディープラーニングと従来の機械学習の両方の方法が含まれており、これらが特性予測において補完的に作用し、高性能を発揮させているのが魅力。これら4モデルの環境要件の競合可能性が残っていることには注意が必要。

202012-前半 注目論文②

2)Molecule Optimization via Fragment-based Generative Models
 (フラグメントベースの生成モデルによる分子の最適化)
 https://arxiv.org/abs/2012.04231

[エグゼクティブサマリー]

 分子の末端での修飾前後の分子の違いを学習することで、一度に一つの切断部位で分子を最適化する。パイプライン全体で、必要に応じて分子の複数のフラグメントを変更できるので、中程度の分子類似性制約の下で80%以上の特性改善を達成した。

[kwh_rd100のコメント]

 最適化されるフラグメントを特定する方法と、良い特性と悪い特性を持つ分子の違いから学習することによって、そのようなフラグメントを変更する方法を学習し、パイプライン全体で、必要に応じて分子の複数のフラグメントを変更できる仕様が魅力的である。実装の公開が待たれる。

202012-前半 注目論文③

3)Combining Multilevel Hartree Fock and Multilevel Coupled Cluster with Molecular Mechanics
 : a Study of Electronic Excitations in Solutions

 (マルチレベルハートリーフォックとマルチレベル結合クラスターを分子力学と組み合わせる
 :溶液中の電子励起の研究)
 https://arxiv.org/abs/2012.05583

[エグゼクティブサマリー]

 QM/FQアプローチと理論的に類似した、分極性または非分極性のいずれかである可能性がある第3の分子力学層と量子埋め込みアプローチとの結合(3層アプローチ)の提案。水溶液中での分子系のソルバトクロミックシフトの計算で性能実証した。有機分子の中で最も拡散性の高いπ∗とπ∗の両方の励起は、MLCC2/FQ法が最も正確に予測できる。

[kwh_rd100のコメント]

 この3層アプローチならば、3つまたは4つの水を含むことでパウリ斥力のような最も重要な短距離相互作用と長距離相互作用をバランスよく考慮し、実験とよく一致する結果が得られることが素晴らしい。原理的には、様々なQM/古典的アプローチに適用可能であることから、適用事例の蓄積が待ち遠しい。

さいごに

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