2021年01月後半 kwh_rd100の注目論文BEST3

 計算化学.comスタッフの kwh_rd100 です。各種の計算ソフト群をツールと割り切って使う立場から、2021年 01月後半の注目論文 BEST3 を紹介させて頂きます。

1)MATERIALS FINGERPRINTING CLASSIFICATION
 (材料指紋分類)
 https://arxiv.org/abs/2101.05808
2)A general and transferable deep learning frameworkfor predicting phase formation in materials
 (材料の相形成を予測するための一般的で転送可能な深層学習フレームワーク)
 https://www.nature.com/articles/s41524-020-00488-z
3)Higher‑order structure of polymer melt described by persistent homology
 (永続的なホモロジーによって記述されるポリマー溶融物の高次構造)
 https://www.nature.com/articles/s41598-021-80975-5

202101-後半 注目論文①

1)MATERIALS FINGERPRINTING CLASSIFICATION
 (材料指紋分類)
 https://arxiv.org/abs/2101.05808

[エグゼクティブサマリー]

 材料データを取り込み、情報が豊富なパーシステンスダイアグラム(PD)を作成し、そこから様々な次元でのPD間の相同性の違いを調べて、個々の構成を特徴づける。体心立方(BCC)および面心立方(FCC)の結晶構造を含む高エントロピー合金(HEA)用いて概念実証した(予測精度99%以上)。実装あり。https://github.com/maroulaslab/Materials-Fingerprinting

[kwh_rd100のコメント]

 材料データを取り込み、情報が豊富なパーシステンスダイアグラムを作成し、そこから様々な次元でのダイアグラム間の相同性の違いを調べているため、原理的には多相サンプルでも対応可能。組成の違い等に基づくドメイン分類の要否の検討は今後の課題である。このアルゴリズムは、材料フィンガープリントのトレーニングセットに追加の結晶構造を組み込むことで、他の格子タイプにも一般化できることが最大の魅力である。

202101-後半 注目論文②

2)A general and transferable deep learning frameworkfor predicting phase formation in materials
 (材料の相形成を予測するための一般的で転送可能な深層学習フレームワーク)
 https://www.nature.com/articles/s41524-020-00488-z

[エグゼクティブサマリー]

 生データを特別な2D構造を持つ疑似画像にマッピングし、CNNを介して特徴を自動的に抽出して知識を取得し、モデル間で特徴抽出器を共有することで知識転送する。ガラス成形能力から高エントロピー合金転移学習で性能実証した。実装あり。https://github.com/sf254/glass-froming-ability-prediction

[kwh_rd100のコメント]

 10000以上のデータポイントのデータセットを使用して、周期表表現と畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を使用してガラス成形能力(GFA)を予測し、転移学習により、355データポイントの小さなデータセットを使用して高エントロピー合金(HEA)のフェーズ予測に成功している。直接データが不十分な場合に周期表から有用な情報を推測しているのが特徴的。本研究成果により、転移学習の分水嶺がより明確になった。

202101-後半 注目論文③

3)Higher‑order structure of polymer melt described by persistent homology
 (永続的なホモロジーによって記述されるポリマー溶融物の高次構造)
 https://www.nature.com/articles/s41598-021-80975-5

[エグゼクティブサマリー]

 各種ニトリルゴムに対して、外部電場を印加し誘電率を求める分子動力学シミュレーションを実施し、パーシステント図(PD)と誘電特性との関連づけ、すなわち、動径分布関数では捉えきれない高次構造の特徴をパーシステントホモロジーで表現することに成功した。

[kwh_rd100のコメント]

 ポリマーのパーシステント図(PD)が、物理的な意味を持つポリマーMI(マテリアルインフォマティクス)の記述子になり得ることを示唆している。より複雑な系、例えば、水のような溶媒の効果を含む高分子材料系などへの適用など、今後の展開が楽しみである。

さいごに

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