2021年03月後半 kwh_rd100の注目論文BEST3

 計算化学.comスタッフのkwh_rd100です。各種の計算ソフト群をツールと割り切って使う立場から、2021年03月後半の注目論文 BEST3 を紹介させて頂きます。

1)Robust recognition and exploratory analysis of crystal structures via Bayesian deep learning
 (ベイズ深層学習による結晶構造のロバストな認識と探索的分析)
 https://arxiv.org/abs/2103.09777
2)MolFinder: an evolutionary algorithm for the global optimization of molecular properties 
 and the extensive exploration of chemical space using SMILES

 (MolFinder:分子特性のグローバル最適化とSMILESを使用した化学空間の広範な探索のための
  進化的アルゴリズム)
 https://doi.org/10.1186/s13321-021-00501-7
3)Copolymer Informatics with Multi-Task Deep Neural Networks
 (マルチタスクディープニューラルネットワークを備えた共重合体情報学)
 https://arxiv.org/abs/2103.14174

202103-後半 注目論文①

1)Robust recognition and exploratory analysis of crystal structures via Bayesian deep learning
 (ベイズ深層学習による結晶構造のロバストな認識と探索的分析)
 https://arxiv.org/abs/2103.09777

[エグゼクティブサマリー]

 計算や実験から得られた包括的で多様な結晶構造のセットを、多結晶系を含めて正しく分類できる、閾値に依存しない結晶分類モデル(ARISE)の提案。化学種ごとにラベル付けされたデカルト座標を持つあらゆるデータに適用可能であり、相互情報量の利用により、構造欠陥度の定量化も可能。実装あり。https://github.com/angeloziletti/ai4materials

[kwh_rd100のコメント]

 教師付き機械学習と教師なし機械学習を組み合わせにより、材料の隠れパターン発見につなげており、カーボンナノチューブのように空間群が結晶構造の特徴を表さない系にも適用可能であるのが嬉しい。実務的には、新たな構造を学習セットに追加し、必要なラベルをつけて再学習しするだけで良いため、計算コスト的にも有利である。

202103-後半 注目論文②

2)MolFinder: an evolutionary algorithm for the global optimization of molecular properties 
 and the extensive exploration of chemical space using SMILES

 (MolFinder:分子特性のグローバル最適化と
  SMILESを使用した化学空間の広範な探索のための進化的アルゴリズム)
 https://doi.org/10.1186/s13321-021-00501-7

[エグゼクティブサマリー]

 SMILESクロスオーバーおよびミューテーション表現に、配座空間アニーリング(CSA)を適用して分子特性最適化を行うMolFinderの提案。クロスオーバーを介した有効なSMILESの生成率は平均81.7%と高い。計算効率は強化学習(RL)に匹敵する。実装あり。https://github.com/duaibeom/MolFinder

[kwh_rd100のコメント]

 SMILES表記で進化アルゴリズムを適用することの有効性を実証している。MolFinderのポイントは、配座空間アニーリング(CSA)の導入であり、解釈可能性、操作、およびデータ共有における優位性は高い。この手法を「分子の逆設計」に直接適用できるか否かに関心が集まる。

202103-後半 注目論文③

3)Copolymer Informatics with Multi-Task Deep Neural Networks
 (マルチタスクディープニューラルネットワークを備えた共重合体情報学)
 https://arxiv.org/abs/2103.14174

[エグゼクティブサマリー]

 マルチタスク学習とメタ学習を組み込んだ高度なポリマーフィンガープリントとディープラーニングスキームの提案。ガラス転移温度(Tg)、融解温度(Tm)、分解温度(Td)のデータセット(18,445点)を用いて、2成分系共重合体を数値的に表現し、これを用いた深層学習は、高速かつ高精度(R^2~0.94)。実装あり。https://github.com/Ramprasad-Group/copolymer_informatics

[kwh_rd100のコメント]

 従来は、ホモポリマーの検討例が多かったが、この論文では共重合体(2成分系)の特性予測の課題に対処しており、素晴らしい。このアプローチが多成分系共重合体やガラス転移温度(Tg)等以外の特性に対しても一般化できるか否かについての検討結果が報告されるのが待ち遠しい(欲張り過ぎ?)。

さいごに

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