2021年04月後半 kwh_rd100の注目論文BEST3  

 計算化学.comスタッフの kwh_rd100 です。各種の計算ソフト群をツールと割り切って使う立場から、2021年04月後半の注目論文 BEST3 を紹介させて頂きます。

1)Inverse design of crystal structures for multicomponent systems
 (多成分系の結晶構造の逆設計)
 https://arxiv.org/abs/2104.08040
2)Accelerating Materials Discovery with Bayesian Optimization and Graph Deep Learning
 (ベイズ最適化とグラフディープラーニングによる材料発見の加速)
 https://arxiv.org/abs/2104.10242
3)Two-step machine learning enables optimized nanoparticle synthesis
 (2段階の機械学習による最適化されたナノ粒子合成)
 https://doi.org/10.1038/s41524-021-00520-w

202104-後半 注目論文①

1)Inverse design of crystal structures for multicomponent systems
 (多成分系の結晶構造の逆設計)
 https://arxiv.org/abs/2104.08040

[エグゼクティブサマリー]

 生成器のバックプロパゲータとして、潜在空間の生成エネルギー予測モデルを統合したCCDCGANを多成分系に一般化して全周期表の組成を網羅した上で、これと大規模な DFT 計算との組み合わせて、新規結晶構造の効率的設計に成功した。再現率87%、新たな結晶構造の72%が DFT 緩和後に負の生成エネルギーを示した。

[kwh_rd100のコメント]

 大規模なDFT計算を併用しているとはいえ、新規の結晶構造を効率的に設計できる(—>新物質の発見を促進できる)ことは素晴らしい。この逆設計フレームワークならば、他の物性値も同じ潜在空間内で最適化できるので、多目的最適化にも使える点が魅力である。

202104-後半 注目論文②

2)Accelerating Materials Discovery with Bayesian Optimization and Graph Deep Learning
 (ベイズ最適化とグラフディープラーニングによる材料発見の加速)
 https://arxiv.org/abs/2104.10242

[エグゼクティブサマリー]

 グラフ深層学習エネルギーモデルを使用した対称性制約を伴うベイズ最適化の適用を使用して、結晶構造の「DFTフリー」緩和を実行できるアルゴリズムBOWSRの提案。このBOWSRにより新しい超圧縮性硬質材料MoWC2等を特定し、優れた機械的特性を持つことを実証した。

[kwh_rd100のコメント]

 仮想材料の正確な特性予測に対する重大なボトルネック(平衡結晶構造データが乏しいケース)に対処して、優れた特性を備えた新材料を機械学習スクリーニングにより見出し、実際に合成して実証しているのは、驚愕である。コード公開が待ち遠しい。

202104-後半 注目論文③

3)Two-step machine learning enables optimized nanoparticle synthesis
 (2段階の機械学習による最適化されたナノ粒子合成)
 https://doi.org/10.1038/s41524-021-00520-w

[エグゼクティブサマリー]

 マイクロ流体ハイスループット実験(HTE)において、ガウス過程ベースのベイズ最適化(BO)によるサンプリング後、深層学習(DNN)により、所定の光学特性に向かって収束させる2ステップの機械学習(ML)フレームワークの提案。銀ナノ粒子(AgNP)のプラズモン共鳴で性能実証した。実装あり。https://github.com/acceleratedmaterials/AgBONN

[kwh_rd100のコメント]

 2段階の機械学習(BO→DNN)により、実験データに対して、さまざまなタイプの回帰関数と取得関数をSHAP(SHapley Additive exPlanations)で比較し、どの組み合わせが最高のパフォーマンスを発揮したかを判断していく方法は、実験する人間側の納得感も高い。この手法ならば、吸光度スペクトルの特定の属性(ピーク波長、半値全幅(FWHM)、ピーク強度など)ではなく、吸光度スペクトルをそのまま使用できることもありがたい。

さいごに

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