2021年08月前半 kwh_rd100の注目論文BEST3

計算化学.comスタッフの kwh_rd100 です。各種の計算ソフト群をツールと割り切って使う立場から、2021年08月前半の注目論文 BEST3 を紹介させて頂きます。

1)Distributed Representations of Atoms and Materials for Machine Learning
(機械学習のための原子と材料の分散表現)
https://arxiv.org/abs/2107.14664

2)Entropy-based Active Learning of Graph Neural Network Surrogate Models for Materials Properties
(材料特性のためのグラフニューラルネットワーク代理モデルのエントロピーベースの能動学習)
https://arxiv.org/abs/2108.02077

3)QForte: an efficient state simulator and quantum algorithms library for molecular electronic structure
(QForte:分子電子構造のための効率的な状態シミュレーターと量子アルゴリズムライブラリ)
https://arxiv.org/abs/2108.04413

2021年08月-前半 注目論文①

1)Distributed Representations of Atoms and Materials for Machine Learning
(機械学習のための原子と材料の分散表現)
https://arxiv.org/abs/2107.14664

[エグゼクティブサマリー]

 自然言語処理(NLP)を応用し、原子表現の学習と、原子のベクトルに対する操作をプールする化合物表現を兼備するSkipAtomの提案。化学組成情報のみで、材料の特性を予測可能。形成エネルギーやバンドギャップの予測などで性能実証した。実装あり。https://github.com/lantunes/skipatom

[kwh_rd100のコメント]

 自然言語処理で広く使用されているスキップグラムモデルに基づいて開発されたSkipAtomは、化学情報抽出ルールに起因する曖昧さがないので、メタサーチにも有効である。当該記述子は、構成要素の原子ベクトルの単純なプーリング操作によって容易に構築でき、組成情報のみで、化学的性質を高精度予測できることが素晴らしい。

2021年08月-前半 注目論文②

2)Entropy-based Active Learning of Graph Neural Network Surrogate Models for Materials Properties
(材料特性のためのグラフニューラルネットワーク代理モデルのエントロピーベースの能動学習)
https://arxiv.org/abs/2108.02077

[エグゼクティブサマリー]

畳み込みガウス過程に基づく能動学習において、モデルによる推定値とその推定値に対する不確定性定量化(UQ)の適用で、実験データ取得が困難な場合でも、予測精度を高める方法の提案。
実装あり。https://github.com/keeeto/gp-net

[kwh_rd100のコメント]

 グラフニューラルネットワークをガウス過程と結合して、固体材料を特徴づけ、予測の信頼性の尺度としてプロパティを予測するためのスキームとして、特性推定値に対する不確定性定量化(UQ)が示されている。このUQは 最新のGNNと比較しても遜色なく、よくキャリブレーションされており、シャープであるため、材料設計のための機械学習の適用を促進できることが最大の魅力である。

2021年08月-前半 注目論文③

[エグゼクティブサマリー]

古典的な電子構造パッケージを依存関係に置くだけで、多様な量子アルゴリズム(ADAPT変分量子固有値ソルバー(VQE)など)によるブラックボックス計算が可能なQForteの提案。実装あり。https://github.com/evangelistalab/qforte

[kwh_rd100のコメント]

 状態ベクトルに粒子数とスピン対称性の制限を加えて大幅な高速化を実現しており、24個以上の量子ビットを持つシステムにまで拡張できることが特長。含まれるライブラリは、量子位相推定(QPE)、多参照選択量子クリロフ(MRSQK)、量子虚時間発展(QITE)、ADAPT変分量子固有値ソルバー(VQE)、および単一結合クラスターシングルおよびダブルVQE(UCCSD- VQE)。
将来的な課題として挙がっている新アルゴリズムの追加以外に、量子リソース削減技術についても注目していきたい。

さいごに

 読者各位の計算化学ライフの更なる充実に少しでも貢献できれば嬉しいです。 記事中に間違い等ある場合は、コメント欄、twitterまたはメールにてお知らせいただけると助かります。また、このような話題を取り上げて欲しいなどのリクエストも大歓迎です。可能な限り、前向きに対応致します。

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