2021年10月前半 kwh_rd100の注目論文BEST3

計算化学.comスタッフのkwh_rd100 です。各種の計算ソフト群をツールと割り切って使う立場から、2021年10月前半の注目論文 BEST3 を紹介させて頂きます。

1)DTi2Vec: Drug–target interaction prediction using network embedding and ensemble learning
(DTi2Vec:ネットワーク埋め込みとアンサンブル学習を使用した創薬と標的の相互作用の予測)
https://doi.org/10.1186/s13321-021-00552-w

2)Prediction of Carbon Nanostructure Mechanical Properties and Role of Defects Using Machine Learning
(機械学習を使用したカーボンナノ構造の機械的特性と欠陥の役割の予測)
https://arxiv.org/abs/2110.00517

3)3D INFOMAX IMPROVES GNNS FOR MOLECULAR PROPERTY PREDICTION
(3D Infomaxは、分子特性予測のためのGNNを改善します)
https://arxiv.org/abs/2110.04126

2021年10月-前半 注目論文①

1)DTi2Vec: Drug–target interaction prediction using network embedding and ensemble learning
(DTi2Vec:ネットワーク埋め込みとアンサンブル学習を使用した創薬と標的の相互作用の予測)
https://doi.org/10.1186/s13321-021-00552-w

[エグゼクティブサマリー]

 異種ネットワークにおけるリンク予測問題としての創薬と標的の相互作用(DTI)識別を解決する効率的な計算方法DTi2Vecの提案。各ノードの効率的な特徴表現を生成し、さまざまな融合関数を使用して各薬物-標的エッジの特徴表現を学習していく。Gタンパク質共役型受容体(GPCR)等にてスケーラブルかつ高精度を実証。実装あり。https://github.com/MahaThafar/DTi2Vec

[kwh_rd100のコメント]

 開発したDTi2Vecの機能を、異種ネットワーク上の機能表現有効性の観点等から、node2vecとの異同を含めて、実証および分析した結果を、丁寧に表現してくださっており、ありがたい。著者も課題として言及しているように、DTi2Vecが新しいターゲットの相互作用予測もできるようになる日が待ち遠しい。

2021年10月-前半 注目論文②

2) Prediction of Carbon Nanostructure Mechanical Properties and Role of Defects Using Machine Learning
(機械学習を使用したカーボンナノ構造の機械的特性と欠陥の役割の予測)
https://arxiv.org/abs/2110.00517

[エグゼクティブサマリー]

 カーボンナノチューブとグラファイトの集合体モデル(カーボンナノ構造)の引張強度および弾性率を、開発した階層型空間グラフニューラルネットワーク(HS-GNN)で予測する提案。引張-ひずみ曲線の分子動力学(MD)シミュレーション1159件を用いて性能実証しており、他の手法(DimeNet、GNN、CNNなど)と比較した場合、平均偏差が2~5倍低くなっている。

[kwh_rd100のコメント]

 このHS-GNNは、最大100nmのサイズの形態にスケーリング可能であり、カーボンナノ構造のハイスループットスクリーニングに役立つ。著者らが提案する「材料設計のための大規模グラフ(ノード数10万以上)の処理」ツールとして多用されるためには、構造的には似ているが化学的には異なるナノ構造(窒化ホウ素、高分子構造、複合材料など)などの力学特性も高精度予測できるようになるなど、HS-GNNの汎用性が更に高まる必要がある。今後の展開に注目したい。

2021年10月-前半 注目論文③

3)3D INFOMAX IMPROVES GNNS FOR MOLECULAR PROPERTY PREDICTION
(3D Infomaxは、分子特性予測のためのGNNを改善します)
https://arxiv.org/abs/2110.04126

[エグゼクティブサマリー]

 2次元の分子グラフから潜在的な3次元情報や量子情報を生成することをGNNに学習させる事前学習手法「3D Infomax」の提案。この手法により、8つの量子力学的特性の平均MAEが22%改善した。学習したエンベッディングは、物理学、生物学、薬学などの様々なタスクに移植可能。実装あり。https://github.com/HannesStark/3DInfomax

[kwh_rd100のコメント]

 「3D Infomax」は、自己教師あり学習を使用して、3Dサマリーベクトルとグラフニューラルネットワーク(GNN)の表現との間の相互情報量を最大化し、複数の量子力学的特性を大幅に改善しており、素晴らしい。汎用性にも優れており、既にリポジトリでは、「独自の潜在能力をブートストラップする」、「Barlow Twins」、「VICReg」などのグラフにさまざまな自己監視学習方法を適応させており、今後の展開も楽しみである。

さいごに

  読者各位の計算化学ライフの更なる充実に少しでも貢献できれば嬉しいです。 記事中に間違い等ある場合は、コメント欄、twitter またはメールにてお知らせいただけると助かります。また、このような話題を取り上げて欲しいなどのリクエストも大歓迎です。可能な限り、前向きに対応致します。

2 comments

  1. 管理者様、定期的な記事の投稿をしていただきありがとうございます。
    いつも拝読させていただきます。

    さて、本ページのさいごに「また、このような話題を取り上げて欲しいなどのリクエストも大歓迎です。可能な限り、前向きに対応致します。」とございましたので、リクエストをさせていただいてもよろしいでしょうか?
    ・XenonPyを使用した材料設計をテーマにしたもの
    XenonPyとは、公開DBからのデータ収集や転移学習等を使用した機械学習、iQSPRアルゴリズムによる逆分子設計をまとめたPythonライブラリです。
    公開されてそこそこの時間がたっているので、幅広い範囲で使われた実績と論文がたまってきていると思われます。
    https://xenonpy.readthedocs.io/en/latest/index.html
    https://news.mynavi.jp/techplus/article/20210721-1927856/

    1. リクエストありがとうございます。まずは、XenonPyにかかる論文、調べてみますね。気長にお待ちいただければと思います。

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