前回の記事で Ryzen 3900x に Fedora30 を install したことを報告しました。
今回の記事では、Ryzen 3900x の Gaussian16 ベンチマークを公開して行きたいと思います。
テスト条件
今回は手元にある以下の 3 つの CPU を使用しました。
- AMD Ryzen 3900x
- Intel core-i9 7960x
- AMD Threadripper 1950x
比較として使うには若干古い CPU 達ですが、予算の関係上こうなってしまいました。
Gaussian16 は、C01 という revision を使用しました。
これまで当サイトで測ってきたベンチマーク同様、今回も vomilenine の構造最適化と振動計算の結果を下の表にまとめました。
test0397 なども、また時間ができたら測定したいと思っています。
結果
計算時間のグラフを下に示します。縦軸が時間(sec)です。短ければ短いほど計算が高速であることを意味します。
Ryzen 3900x は、core-i9 7960x に比べ約 1.25 倍高速、初代 Threadripper 1950x に比べて約 1.5 倍高速という結果になりました。並列化効率の悪くありません。
PASS MARK のシングルスレッド性能のベンチマークをみると、Ryzen 3900x は 2918、core-i9 7960x は 2337、初代 Threadripper 1950x は 1991 という値になっています。
2918 ÷ 2337 = 1.24
2918 ÷ 1991 = 1.46
という計算からお分かりいただける通り、Gaussian の計算速度は PASS MARK のベンチマークからおおまかに推定できます。
計算速度だけでなく、やはり一番の注目は価格だと思います。Ryzen 3900x が 6 万 5000 円なのに対し、core-i9 7960x は約 18 万円(当時)、初代Threadripper 1950x は 約 15 万円しました(当時)。16 コアの Ryzen 3950x でも約 10 万円です。
Ryzen 3000 シリーズは、性能面でもコスパ面でも最高の CPU であることは間違いありません!ZEN2 世代になって浮動小数点演算性能が 2 倍になっているという話は本当でした!
予算があまりないけど計算機を買いたいという研究室は、Ryzen 3900x or Ryzen 3950x を大量に買うというのも一つの選択肢だと思います。もちろん予算が潤沢にある研究室は、来月発売予定の第 3 世代 Threadripper や第 2 世代 EPYC を買うのも良いと思います!
雑感
初代 Threadripper を買った時、1 コア当たりのコスパは良いけどシングルスレッド性能が弱いなと感じていました。それ以来、AMD の CPU は若干避けるようになっていました。
さらに、最近の AMD の CPU は intel compiler 未対応なので、intel compiler でコンパイルしたバイナリーが使えないという不便さがありました。
しかし、今回の Ryzen 3000 シリーズは、予想以上の計算速度を示してくれました。上述の不便さなど微々たるものですね。
Intel は、次発売予定の 10nm プロセスの CPU で Ryzen 3000 シリーズをまた追い抜くといっていますが、果たしてどうなのでしょうか?
まず、Intel の 10nm プロセスは何度も延期されているので、本当に発売されるのか怪しいです。
また、AMD は ZEN3 の開発がもう完了しており、20% も密度を改良した 7nm プロセスを次の Ryzen シリーズで搭載するようです。また、ZEN4 の開発にも着手しているようで、こちらは 6nm プロセスルールで製造するようです。
Intel が良い CPU を出してもすぐに AMD に追い抜かれそうな気がします。
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