(トップ画像は、参考文献 2 から転載しました。)
こちらのニュース記事スパコン「暁光」が国内最高の計算速度を達成 1秒間に1・413京回にもある通り、ペジーコンピューティング (以下 PEZY Computing) が開発を進めてきたスーパーコンピューター「暁光」が国内最高速度を達成したそうです。
現在の世界ランキングでは、TOP500第 6 位相当、GREEM500第 1 位相当とあります。しかし、2017 年 11 月 14 日にに発表される Top500 でそう簡単に上位を奪えるかというと、そう簡単ではありません。ニュース等で伝え聞いた感じでも、今回のランキングでは変動が起こりそうな感じがしています。
2017年11月14日追記 スパコンランキングが発表されました。
日本勢が GREEN500 上位独占!注目の暁光は TOP500 第4位!スパコンランキング2017年11月
参考:【TOP500】スパコンランキングの見方!【Graph500_Green500】
暁光の特徴
PEZY computing がこれまで開発して来た 菖蒲、睡蓮、青睡蓮でも使用されていた液浸冷却を使用しています。2017 年 6 月の TOP500 では、システムが一部しか稼働していない状況ながら、69 位になったそうです。
PEZY Computing が新規に独自開発した最新のメニーコアプロセッサ「PEZY-SC2」を基幹プロセッサとして採用した「ZettaScaler-2」シリーズからなり、1 筐体(液浸槽)で 2.0 PFLOPS クラスのピーク性能を示します。
Top500の展望
前回の TOP500 では Oakforest-PACS が 7 位と前々回よりも一つ後退し、理研の “京” は8 位という結果でした。一位は前々回と同じく、中国の神威・太湖之光で中国勢が 9 連覇となりました。
暁光は世界ランキング第 6 位相当とありますが、当然ながら他のスパコンも進化を遂げています。
こちらの記事: 中国スパコンの性能が2倍に、垣間見えるしたたかな戦略 にもある通り、中国のスパコン開発が加速しており、日本は大きな遅れを取っています。本来であれば国がもっとも投資しなければいけないところを PEZY Computing などの企業に頼り過ぎている感があります。
中国では 2013 年 6 月から 2015 年 11 月にかけて TOP500 の一位を守って来た “天河二号” の後継機 “天河二号A” が完成し、性能が 2 倍になったそうです。ベンチマークの提出が 2017 年 11 月のランキングに間に合うかどうかはわかりませんが、遅くとも来年には必ず登場すると思われます。
アメリカでもスパコンの開発は進んでおり、200 PFLOPS と現在 TOP500 で 1 位の 神威・太湖之光の 93 PFLOPS をしのぐ性能のスパコンが 2018 年に登場する予定です。
参考:The Next Most Powerful Supercomputer in the U.S. Is Almost Complete
また、近年 GPU を大量に使用して省電力性能も兼ね備えたスパコンが多数開発されており、最新の Volta 世代GPU「Tesla V100」を搭載したスパコンの登場も予想されており、GREEN500 のランキングが大きく変動するかもしれません。
ちなみに、今年話題になった Google の囲碁AI では、 GPU ではなく大量の TPU が使われていました。
参考:米Googleが深層学習専用プロセッサ「TPU」公表、「性能はGPUの10倍」と主張
今回のランキングには関係ありませんが、産業技術総合研究所(産総研)が富士通に人工知能専用のスパコンを注文したようです。
参考:国内最速、産総研のAIスパコンを富士通が約50億円で受注
2017 Nov のランキング
最新の TOP500 と GREEN500 は米国コロラド州・デンバーで 11 月 12 日より開催されるスーパーコンピュータの国際会議である SupercomputingConference(SC17)で 11 月 14 日に発表されるようです。どうなるのか楽しみです!
参照元
- スパコン「暁光」が国内最高の計算速度を達成 1秒間に1・413京回
- スーパーコンピュータシステム「Gyoukou(暁光)」の開発状況について ~ 国内 1 位相当の演算性能と世界最高の省エネ性能を同時に達成 ~ (PDF)
- 中国スパコンの性能が2倍に、垣間見えるしたたかな戦略
- 米Googleが深層学習専用プロセッサ「TPU」公表、「性能はGPUの10倍」と主張
- 国内最速、産総研のAIスパコンを富士通が約50億円で受注