ダニエル・シングルトン Daniel Singleton

(トップ画像は、彼の研究室の HP より拝借)

ダニエル・A・シングルトン(Daniel A. Singleton、19xx年xx月xx日-)は米国の有機化学・計算化学者である。米テキサス A&M 大学教授。

経歴

1980 年 学士号(化学)ケース・ウェスタン・リザーブ大学 (Case Western Reserve University) オハイオ州
1986 年 博士号(化学、指導教員:Paul G. Gassman 教授)ミネソタ大学ミネソタ州

1986-1987 年 ポスドク ウィスコンシン大学マディソン校 (University of Wisconsin-Madison) (Barry M. Trost 教授)
1987-1993 年 Assistant Professor テキサス A&M 大学 (Texas A&M University)
1993-1998 年 Associate Professor テキサス A&M 大学 (Texas A&M University)
1998 – 現在    Professor テキサス A&M 大学 (Texas A&M University)

2005-2011 年 Associate Editor, The Journal of Organic Chemistry
2006 – 現在   Co-owner, Process Origins Company
2005-現在 Davidson Professor of Science テキサス A&M 大学 (Texas A&M University)

受賞歴

  • Wells Fargo Honors Faculty Mentor of the Year, Texas A&M University (2017)
  • Association of Former Students Distinguished Teaching Award, College of Science (2015)
  • Dow/Karabatsos Distinguished Lectureship (2010)
  • Cope Scholar, American Chemical Society (2008)
  • Distinguished Achievement Award in Teaching, The Association of Former Students and Texas A&M University (2008)
  • Davidson Professor of Science (2005)
  • University Faculty Fellow, Texas A&M University (2001-2006)
  • Association of Former Students Distinguished Teaching Award, College of Science (1995)
  • National Institutes of Health Postdoctoral Fellowship (1986-1987)
  • National Science Foundation Fellowship (1983-1986)
  • Lee Irvin Smith Award in Organic Chemistry, University of Minnesota (1985)
  • University of Minnesota Graduate School Fellowship (1982-1983)
  • Carl F. Prutton Prize in Chemistry, Case Western Reserve University (1981)
  • Horsburgh Scholar, Case Western Reserve University (1977-1980)
  • Valedictorian, Meadowbrook High School (1977)

研究内容

  • Dynamic Effects

Singleton は遷移状態後の枝分かれ反応の研究に精力的に取り組んでいます。dynamic effect は、遷移状態理論を用いて説明することができない原子の運動および運動量に関連する現象です。動的効果は遷移状態理論を用いて説明することができないため、有機化学における反応性と選択性を理解するためのパラダイムに沿いません。通常、Dynamic effect によって影響を受ける反応はまれであると仮定されています。Singleton らは、溶液中の通常の有機反応において Dynamic effect が重要となる方法を明らかにしました。重要な点は、反応が介在中間体なしで2つの連続した遷移状態を伴わなければならないことです。それは不可能に聞こえるかもしれませんが、実際それはかなり一般的である可能性が高いと思われます。Singleton らの目標は、さまざまな有機反応における Dynamic effect を実験的にテストし、最も基本的な概念や仮定が失敗する化学の幅を狭めることだそうです。

“Dynamic Effects on the Periselectivity, Rate, Isotope Effects, and Mechanism of Cycloadditions of Ketenes with Cyclopentadiene.”
Ussing, B. R.; Hang, C.; Singleton, D. A.
J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 7594–7607. DOI: 10.1021/ja0606024

ちなみに、遷移状態後の枝分かれ反応の計算に使う Progdyn program は Github 上で公開されています。Progdyn は Gaussian での振動計算結果を input として用いる分子動力学計算プログラムです。

【参考】遷移状態後の枝分かれでの Dynamic Effect
【参考】Rh の C-H 挿入反応の新知見〜遷移状態後の枝分かれ〜

  • Isotope Effects

Singleton のグループで開発された NMR 方法論を使用することにより、分子中の各部位の天然存在量における同位体効果 (KIE) を精密に測定することが可能です。これらの測定値は、反応の律速段階についての情報を提供します。このデータを最新の計算法と組み合わせることで、化学全体の反応メカニズムを迅速に研究し、論争を解決し、新しいメカニズムを発見し、基本的な有機反応の詳細を明らかにすることができます。

参考文献

  1. 研究室 HP
  2. Progdyn_github
  3. 本人の twitter アカウント

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