AMD の ZEN2 世代の CPU が 7 月 7 日に発売されます!
初の 7 nm プロセスルールで作られた CPU が、量子化学計算などで、どの程度の性能を示すか注目です!
近年 AMD が発表してきた Ryzen シリーズは、コア数の多さと価格の手頃さが魅力的でしたが、シングルスレッド性能では intel の CPU に劣っていました。
本ウェブサイトでも、これまで threadripper や intel core i9-7960x を用いた際の gaussian の計算速度のベンチマークを公表してきましたが、ryzen の 6 コアと intel の 4 コアで同等の計算実行時間かな、、、という感じでした。
しかし、intel は 10 nm プロセスルールの開発に時間がかかってしまっており、7 nm プロセスルールの AMD の CPU がついにシングルスレッド性能でも intel に勝つのでは無いか?と現在噂されています。
実際に gaussian などを走らせた時に、どの程度の計算速度が出るのか非常に楽しみです。
参考:AMD が 7nm プロセスの ZEN2 世代 CPU を披露【EPYC Rome】
ZEN2 世代の CPU のラインナップ
特に注目は、16 コアの Ryzen 9 3950x です。
注:Ryzen 9 3950x のみ 9 月発売予定。他は、7 月 7 日発売予定。
AMD が発表した Ryzen 9 3950x のベンチマークスコアでは、シングルスレッド性能は intel の Core i9-9900K と同等程度、マルチスレッド性能は intel の Core i9-9980XE (18C/36T) を凌ぐという結果が出ています。(参考文献1)
また、浮動小数点演算性能がこれまでの Ryzen シリーズよりも 2 倍、キャッシュサイズも 2 倍になっているそうです。
少し気になる点
10 nm プロセスルールの intel の CPU と 7 nm プロセスルールの AMD の CPU の性能がほぼ同じでは無いかと、現在予想されています。(10 nm プロセスルールの Ice Lake が出荷されるのは 2020 年と言われているので、まだ比較できません。)
ここで気になるのが、AVX2 でどれほどの性能を示すかどうかです。(gaussian16 は AVX2 対応です。)第一世代の Ryzen では AVX2 は動きましたが、遅かったです。本ウェブサイトでも AVX2, AVX, SSE4 の gaussian16 を検討しましたが、第一世代 Ryzen では SSE4 が最適でした。
また、AMD の最新の CPU では intel compiler が使えません。この点もどの程度計算速度に効いてくるのかは実際に試してみないと分かりません。
しかし、上述の気になる点を差し引いても ZEN2 のコア数と価格は魅力的です。
18 コアの core i9-7980XE が 2,000ドルなのに対し、16 コアの Ryzen 9 3950x は 749ドルです。驚きの半額以下の価格!さらに、TDP も大幅に改善されています。
ちなみに、今回の CPU は 7 nm プロセスルールで注目されていますが、I/Oチップは 14 nm スケールでの製造になるそうです。
ちなみに、プロセスルールについてよくわからないという人は、こちらの参考文献2のサイトを読むと分かりやすいですよ。
あと、PCI Express が Gen 4 になるのも気になっています。
Threadripper3 ?
ZEN2 世代の Threadripper 3 も発表されることが予想されています(参考文献3)。EPYC “Rome” が 64 コアであることから ZEN2 世代の Threadripper 3 も 64 コアではないかと予想されています。
Threadripper 1950x が 約 15 万円、Threadripper 2 2990wx が 約 20 万円だったことを考えると、Threadripper 3 は 30 万円弱くらいでしょうか?
でも、30 万円で計算資源が 64 コアも手に入ったら十分すぎる気がします。
こんな格安で計算機が手に入るようになるなんて、良い時代になったと思います。
計算化学.com では、とりあえず Ryzen 3900X を購入して gaussian のベンチマークをとってみて、その後で Threadripper 3 を購入するかどうか決めようかと思っています。