計算化学が非常に身近になった現在では、実験化学者も簡単なスペクトル計算を活用して研究を進めているのではないでしょうか?
例えば、NMR 計算は、計算コストが小さく、もっとも手軽な計算の一つです。
参考:NMR計算のアドバイス
NMR 計算の結果の log ファイルを Gauss View で開くと、下図のように NMR スペクトルを見ることができます。この時、reference を指定することで基準物質に対する化学シフトの数値を見ることができます。
一般的な TMS, H2O, NH3, B2H6 などはデフォルトで入っていますが、それ以外のものは入っていません。
これは、プロトンやカーボン以外の NMR 計算をする場合には、非常に困る点です。自分で基準物質を Gauss View に取り込まなくてはなりません!
そこで、Gauss View カスタマイズシリーズの第2回目は、NMR の referenceの追加の仕方についてです。
参考:Gauss View をカスタマイズしよう!その1【分子パレットを拡張】
nmr.data フォルダを編集
Gauss View の入っているフォルダを開き、nmr.data をテキストエディタなどで開いてみましょう。
デフォルト設定では、以下のように reference 情報が書いてあります。
基準物質の追加は非常に簡単で、この nmr.data に手動で書き加えるだけで完了です。
ここでは例として、
H 32.3685 "TMS wB97XD/6-31+G(d,p) GIAO"
と最後の行の下に書き加えてみましょう。
nmr.data 編集後に Gauss View を再起動して、NMR 計算した log ファイルを開くと、以下のように wB97XD で計算した TMS を reference として選択できるようになります。
まとめ
NMR の基準物質の Gauss View への追加の仕方は非常に簡単で、nmr.data を編集するだけです。
NMR計算のアドバイス (https://computational-chemistry.com/top/blog/2016/10/27/nmr_database/) がリンク切れです。
よろしければ更新していただけないでしょうか。