スパコンランキング発表!日本はGREEN500上位独占!【2017年6月】

先日の記事でも予告した通り、ドイツ・フランクフルト市で開催されているスーパーコンピューターに関する国際会議 “ISC HIGH PERFORMANCE 2017(ISC 2017)” にてスパコンランキングの TOP500GREEN500 が発表されました。

【2017 年 11 月 14 日追記】
最新のスパコンランキングについては、以下の記事を参照してください。
日本勢が GREEN500 上位独占!注目の暁光は TOP500 第4位!スパコンランキング2017年11月

参考【TOP500】スパコンランキングの見方!【Graph500_Green500】
参考理研「京」5 期連続 1 位!【Graph500_2017June】

日本のスパコンは、 TOP500 では Oakforest-PACS が 7 位と前回よりも一つ後退し、理研の “京” は8 位という結果でした。一位は前回と同じく、中国の神威・太湖之光でした。これで中国勢が 9 連覇となりました。

一方で、省電力性を競う GREEN500 では 1,2,3,4,7,8 位と上位十傑のうち 6 つを占めるという結果になりました!

管理人が注目していた前回 1 位の NVIDIA は 10 位だったため一見予想が外れたように見えるかもしれませんが、上位 10 位のほとんどのスパコンが NVIDIA の GPU を使っています。やはり、省電力で大量の計算処理を行うには GPU を使うのが良いようですね!

参考GPU を用いた並列計算

日本のスパコンが GREEN500 の上位独占!

GREEN 500 の上位十傑 は、

1. TSUBAME3.0, 東京工業大学, 日本

2. kukai, ExaScalar Yahoo Japan Corporation 日本

3. AIST AI Cloud, 産業技術総合研究所, 日本

4. RAIDEN GPU subsystem, 理研 日本

5. Wilkes-2, ケンブリッジ大学 イギリス

6. Piz Daint, Swiss National Supercomputing Centre (CSCS), スイス

7. Gyoukou, Japan Agency for Marine -Earth Science and Technology, 日本

8. Research Computation Facility for GOSAT-2 (RCF2), 国立環境研究所, 日本

9. 名無し, Facebook, アメリカ

10.DGX Saturn, VNVIDIA Corporation, アメリカ

今回もエクサスケーラー社のスパコンが 2 位と 7 位に入っています。

なぜ省電力性が重要か?

現在、スーパーコンピュータの開発はペタスケール(10 の 15 乗)からエクサスケール(10 の 18 乗)を目指して行われています。

例えば、10 PFlops の理研の “京” をそのまま 100 倍にするとエクサスケールを達成することができるかもしれませんが、それでは電力消費も 100倍 になってしまいます。現在の京の電力消費量は一般家庭の約 3 万世帯分と言われています。これが 100 倍になると 300 万世帯分、約原発一基分の消費電力となってしまい、現実的には実用化が非常に難しくなってしまいます。

そのため、エクサスケールのためには単純に計算性能をよくしていくだけでなく省電力性も追求していく必要があると考えられており、GRENN500 はその一つの指標とされています。日本のスパコンは、TOP500 での一位を目指してはいないように思います。TOP500 に最適化したチューニングを施せばもっと上位に行くと思いますが、若干時代遅れ感のあるベンチマークである TOP500 で一位を取ることにそこまで意味はありません。

今回のランキングについて

TOP500 は前回とほぼ同じなのですが、3 位にスイスの Piz Daint というスパコンがランクインしてきました。そのため、日本のスパコンの順位が一つ下がりました。Piz Daint  は前回 8 位でした。

一方で GREEN 500 の上位の顔ぶれは大幅に変わりました。前回 1 位だった NVIDIA が今回は 10 位に後退しています。たった半年でここまでランキングが変わることに少し驚きを感じましたが、最近の GPU の進化速度を考えれば当然の結果かもしれません。

また、TOP500 で 3 位に入ったスイスの Piz Daint は GREEN500 でも 6 位に入っています。

TSUBAME3.0

今回 GREEN500 で一位になった東京工業大学が所有するスーパーコンピューター TSUBAME3.0 の正式名称は “Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment 3.0” です。
2006 年 6 月には TOP500 でも 7 位にランクインしています。TSUBAME -> TSUBAME2.0 -> TSUBAME2.5 -> TSUBAME3.0 のようにバージョンアップされています。

特徴としては、NVIDIA 社の Tesla P100 を 400 基搭載していること、空冷ではなく外気に近い温度の冷却水を用いて GPU/CPU の直接冷却を行うなどにより、電力消費を抑えていることなどが挙げられます。

Graph500

今月中に、今度はより複雑な計算を競う Graph500 も発表されます。京が連覇するのか、それとも新しいスパコンが一位になるのか、注目です!

【追記】
Graph 500 も発表され、理研「京」5 期連続 1 位となりました。
参考理研「京」5 期連続 1 位!【Graph500_2017June】

参考リンク

  1. TOP500 2017 JUNE
  2. GREEN500 2017 JUNE
  3. Yahoo! JAPAN、ディープラーニングに特化したスパコンを開発 スパコンの省エネランキング「GREEN500」にて世界第2位を獲得
  4. 東工大TSUBAME3.0と産総研AAICが省エネ性能スパコンランキングで世界1位・3位を獲得

関連する記事

コメントを残す(投稿者名のみ必須)