国際量子分子科学アカデミー(International Academy of Quantum Molecular Science, IAQMS)
量子化学を用いた分子レベルの現象の研究を促進する目的で設立されたアカデミー。本部はフランス南東部のマントン(Menton)。
(トップ画像は、国際量子分子科学アカデミー公式ウェブサイトより転載)
歴史
1967 年にフランス南東部のコート・ダジュールにある町マントン(Menton)で、ノーベル賞受賞でもあるルイ・ド・ブロイ Louis de Broglie の支援のもと設立された。
設立メンバーは、レイモンド・ドーデル Raymond Daudel (フランス)、ペル-オロフ・レフディン Per-Olov Löwdin (スウェーデン)、ロバート・パール Robert G. Parr (アメリカ)、ジョン・ポープル John A. Pople (アメリカ)、バーナード・プルマン Bernard Pullman (フランス)の 5 人であった。
国際量子分子科学アカデミーは、65 歳以下のメンバーは 25 人以下にするという制限があった(その後 35 人までに変更された)。しかし、2007 年以降この制限は廃止された。会員は、量子化学の研究や下位分野の開拓など、分子や高分子の研究に量子力学を応用して重要な業績を残した全世界の科学者から選出される。国際量子分子科学アカデミーの目的は、国際的な交流や定期的な研究の評価などである。
アカデミー主体的に行っているものとして、3 年に 1 度の「量子化学の国際会議」や、若手研究者へのメダルの授与などが挙げられる。これまでに 46 名がメダルを授与された(2014年時点)。
歴代の会長
3 年ごとに投票により選出される。
- レイモンド・ドーデル Raymond Daudel (フランス) : 2 期(1967–1970 年、1970–1973 年)
- バーナード・プルマン Bernard Pullman (フランス): 2 期(1963–1976 年、1976–1979 年)
- ペル-オロフ・レフディン Per-Olov Löwdin (スウェーデン): 2 期(1979–1982 年、1982–1985 年)
- A. Pullman: 2 期(1985–1988 年、1988–1991 年)
- ロバート・パール Robert G. Parr (アメリカ): 2 期(1991–1994 年、1994–1997 年)
- ジョン・ポープル John A. Pople (アメリカ): 1 期(1997–2000 年)
- 諸熊 奎治 Keiji Morokuma(日本): 2 期(2000-2003 年、2003-2006 年)
- シグリド・ペヨリムホフSigrid D. Peyerimhoff(ドイツ): 1 期(2006-2009 年)
- ペッカ・ピューッコP. Pyykkö(フィンランド): 1 期(2009-2012 年)
- ジョセフ・ミクル J. Michl(チェコ): 2 期(2012-2015 年、2015-2018 年)
会員になるには?
新規会員は、現アカデミーの会員によって行われます。次の手順により選考されます。
1. アカデミーの会議の前に、会長が候補者のリストを用意する。
2. 各会ごとに理事会が選考の上限人数を決定する。
3. ノミネートのための投票が行われる。過半数の賛成票が必要。
4. 選考のための投票が行われる。2/3 以上の投票が必要。
会員に選ばれるのは非常に難しいようですが、これまでに選ばれた方々は、すべて超一流の研究者ばかりです。
若手研究者へのメダルの授与
1 月 1 日時点で 40 歳またはそれ以下の年齢であり、かつ一報以上の原著論文を発表していて量子化学分野への多大な貢献をした人に送られる。
選考方法は新会員の選考と同じであり、狭き門である。