NVIDIA がクラウド GPU による医療画像診断の革命を起こす!?

NVIDIA が医療用画像診断のプロジェクト Project Clara について発表しました。このプログラムは、クラウド GPU サーバーの V100 上で実行可能ということです。

TOP500 の NEWS 欄には、毎週スーパーコンピューターに関する最新情報が報告されています。残念ながら、日本のメディアではほとんど報道されません。
本ウェブサイトでは、それらのニュースを定期的に日本語で紹介していきます。

今回紹介する記事は、
“NVIDIA Looks to Revolutionize Medical Imaging with Virtual GPUs”
March 30, 2018

概要

今週の GPU Technology Conference で発表された、もっとも実用的なアプリケーションの 1 つは、NVIDIA の GPU と深層学習を組み合わせた医療用画像スーパーコンピュータ プロジェクト “Clara” です!

Project Clara は、ノイズの多い医療画像を高解像度のシネマティック・レンダリングに変換できる AI コードのセットです。 X 線、超音波スキャン、CT、MRI、PET、マンモグラフィなど、あらゆる種類の標準的な医用画像を取り込むことができます。 レンダリング中に、それらの画像から有用な定量的情報を抽出することができます。 NVIDIA とアカデミアの共同研究者によって開発されたソフトウェアには、AUTOMAP、V-Net、およびシネマティック・レンダリングのコードが含まれています。

AUtomated TransfOrm by Manifold Approximation” が命名された AUTOMAP は、生のビジュアルデータから画像再構成を実行し、ノイズやその他のアーティファクトを排除するディープニューラルネットワークです。 V-Net は 2 次元画像から 3 次元画像を推測し、ボリュームセグメンテーションを実行する畳み込みニューラルネットワークです。 V-Net は解剖学的構造を測定し、臨床的に関連する機能性を評価することもできます。

プロジェクト Clara のテクノロジーの実例が、NVIDIA の CEO、Jensen Huang 氏による火曜日の基調講演でGTCで実演されました。ここでは、鼓動する心臓の 2D 超音波が、注入画分、収縮期血圧および拡張期血圧を含む 3D シネマティック・レンダリングに完璧に変換されました。おそらく、これら全てのプロセスが、約 0.5 PFLOPS の深層学習パフォーマンスを発揮する数個の V100 GPU で動作します。

(Original ultrasound image of left ventricle (left) and V-Net inferred image plus annotations (right). Source: NVIDIA)

NVIDIA がもたらしたものは、このソフトウェアを仮想化された環境、つまり GPU 搭載のクラウドでホストできるということです。 同社は Tesla GPU を使って病院や診療所ですべての医療用画像機器を装備することができて喜んでいますが、このソフトウェアをローカルで実行することもできますが、実用的ではありません。 世界には約 300 万の医療用画像機器が設置されており、これらの機器の回転率は年間数十万人です。 これらの数字に基づいて、すべてが必要なレンダリングと分析を計算的に実行できるまでには約 15 年かかります。

代わりに、ニューラルネットを搭載した Project Clara ソフトウェアは、Kubernetes コンテナオーケストレーションを使用して、必要に応じてこれらのアプリケーションをクラウドデータセンターの GPU 搭載サーバー上で実行することができます。また、1 人のユーザーにはわずか数百の V100 が必要なだけなので、十分に在庫がある GPU クラウドはおそらく何千ものユーザーを同時に処理できます。 さらに、AI プロセッサが急速に進化していることを考えると、数百万もの医療機器をサポートする計算機ハードウェアから切り離すことが理にかなっています。

Project Clara の使用を前提として、Huang 氏は次のように述べました「現在では、すべてのシステムを事実上更新することが可能になりました」と。

感想

今後も NVIDIA の快進撃は止まらなそうな印象を受けました。医療用の画像診断ソフトというと IBM の Watson が有名ですが、そこに切りこもうということでしょうか?

このような画像診断が local 環境ではなくクラウド環境で行えるというのも非常に魅力的だと思います。やはり、local で計算機を持つことはメリットも大きいですが、お金がかかります。

あと、最新の V100 GPU の性能が与えるインパクトはやはり大きいですね。

 

管理人は、GPU や画像診断の専門家ではありません。記事中に間違いなどがありましたら、コメント欄、twitter またはメールでご指摘していただけると幸いです。

参考文献

  1. シネマティック・レンダリング

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